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サイバー攻撃の対策とは?種類・事例をわかりやすく解説【2026年版】

「KADOKAWAのような大企業でも止まるなら、うちは大丈夫なのか」「取引先からセキュリティチェックシートが届いたが、何を整えればよいのか」。近年、こうした相談を受ける機会が増えています。

結論から言えば、サイバー攻撃対策は「高価なツールを入れれば終わり」ではありません。まずはOS更新、多要素認証、バックアップ、従業員教育、インシデント発生時の連絡体制といった基本を固めることが重要です。そのうえで、会社の規模や事業内容に応じて、UTM、EDR、WAF、ログ監視、脆弱性診断、ペネトレーションテストなどを組み合わせていきます。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向け脅威の1位が「ランサムウェア攻撃による被害」、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」とされています。ランサムウェア攻撃は順位として5年連続1位であり、10大脅威での取り扱いとしては11年連続です。つまり、企業規模を問わず、継続的に備えるべき経営リスクになっています。

なお、サイバー攻撃へは事前対策が重要となっており、脆弱性診断ペネトレーションテストが有効です。CyberCrewでは、複数名のホワイトハッカーが在籍し、攻撃者が実際に狙うポイントから現場感のあるテストでリスクを評価します。まずは無料でご相談ください。

TABLE OF CONTENTS

サイバー攻撃とは

サイバー攻撃とは、インターネットや社内ネットワーク、パソコン、サーバー、クラウドサービスなどを狙い、情報を盗む、業務を止める、金銭を要求する、不正にシステムを操作する行為の総称です。

攻撃という言葉から、映画のような高度なハッキングを想像するかもしれません。しかし実際には、「古いVPN機器を放置していた」「同じパスワードを使い回していた」「添付ファイルを開いてしまった」といった、身近な隙から被害が始まるケースも少なくありません。

中小企業にとって重要なのは、すべてを完璧に守ることではなく、攻撃されやすい入口を減らし、侵入されても早く気づき、被害を広げない体制を作ることです。

サイバー攻撃の脅威とリスク

サイバー攻撃を受けると、まず業務が止まります。受発注システム、会計システム、メール、ファイルサーバー、クラウドストレージが使えなくなれば、日常業務そのものが回らなくなります。製造業であれば生産停止、ECサイトであれば販売停止、医療機関であれば診療制限につながります。

次に問題になるのが情報漏洩です。顧客情報、従業員情報、取引先情報、契約書、見積書、図面、ID・パスワードなどが外部に流出すれば、損害賠償、取引停止、行政対応、謝罪対応が発生します。

さらに深刻なのは信用失墜です。サイバー攻撃の被害は「復旧すれば終わり」ではありません。取引先から「再発防止策を提出してほしい」「セキュリティ体制を確認したい」と求められ、営業活動や継続取引に影響することがあります。サイバー攻撃対策は、IT部門だけでなく、経営判断として扱うべきテーマです。

サイバー攻撃の目的

攻撃者の目的は、大きく4つに分けられます。

1つ目は金銭目的です。ランサムウェアでデータを暗号化して身代金を要求する、フィッシングで口座情報を盗む、盗んだID・パスワードを売買するといった手口です。中小企業が狙われやすいのも、この金銭目的の攻撃です。

2つ目は情報窃取です。技術情報、顧客リスト、営業資料、研究データなどを盗み、競合や犯罪グループに渡すケースがあります。

3つ目は政治的・思想的な主張です。特定の国、企業、団体に抗議する目的でWebサイトを停止させたり、情報を公開したりする攻撃です。

4つ目は愉快犯や自己顕示です。技術力を誇示したい、混乱を起こしたいという理由で攻撃する者もいます。ただし、企業側から見れば、攻撃者の動機が何であっても、業務停止や情報漏洩という被害は同じです。

サイバー攻撃の対象者

「大企業だけが狙われる」と考えるのは危険です。警察庁の令和7年の資料では、ランサムウェア被害企業を規模別に見ると、中小企業が約6割を占めるとされています。大企業の取引先、地域の製造業、医療機関、自治体、学校、個人事業主も標的になります。

攻撃者にとって重要なのは、相手の知名度よりも「侵入しやすいか」「金銭や情報を得られるか」「取引先経由で大きな組織に近づけるか」です。中小企業は、専任のセキュリティ担当者がいない、機器の更新が遅れやすい、社内ルールが属人的になりやすいという理由で、攻撃の入口にされることがあります。

個人ができるサイバー攻撃対策

会社のセキュリティは、従業員一人ひとりの行動に大きく左右されます。どれだけ高機能なセキュリティ製品を導入しても、パスワードを使い回したり、不審なメールを開いたり、更新を放置したりすれば、攻撃の入口が残ります。

ここでは、家庭でも職場でも使える基本対策を整理します。難しい専門知識は不要です。まずは「更新する」「使い回さない」「確認してから開く」「バックアップを取る」という基本を徹底してください。

OS・ソフトウェアを最新に保つ

OSやソフトウェアには、後から脆弱性が見つかることがあります。脆弱性とは、攻撃者に悪用される可能性のある弱点です。メーカーは修正プログラムを公開しますが、利用者が更新しなければ弱点は残ったままです。

WindowsではWindows Update、Macでは「システム設定」からソフトウェアアップデートを確認します。iPhoneやiPadは「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から自動アップデートを有効にできます。Macでも自動的にmacOSアップデートやセキュリティ対応を適用する設定があります。

Android端末も、設定アプリからシステムアップデートを確認します。業務用PCでは、従業員任せにせず、管理者が更新状況を定期的に確認する運用が必要です。古いOSやサポート切れソフトは、攻撃者にとって狙いやすい入口になります。

パスワード管理と多要素認証

パスワードの使い回しは、非常に危険です。どこか1つのサービスからID・パスワードが漏洩すると、攻撃者は同じ組み合わせでメール、クラウド、ECサイト、社内システムにログインを試みます。これをパスワードリスト攻撃と呼びます。

対策は、サービスごとに異なる長いパスワードを使うことです。人間がすべて覚えるのは難しいため、パスワード管理ツールの利用を検討してください。パスワードは「短く複雑」よりも「長く推測されにくい」ものが実用的です。

加えて、多要素認証を必ず有効にします。多要素認証とは、パスワードに加えて、スマホの認証アプリ、生体認証、セキュリティキーなどを組み合わせる仕組みです。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)も、パスワードの使い回しを避け、多要素認証を利用することを基本対策として示しています。

特にメール、Microsoft 365、Google Workspace、会計ソフト、クラウドストレージ、VPN、管理画面には、多要素認証を優先的に設定してください。

家庭用ルーターのセキュリティ設定

在宅勤務がある会社では、従業員の自宅ルーターもリスクになります。家庭用ルーターが乗っ取られると、通信の盗聴、不正サイトへの誘導、DDoS攻撃の踏み台化などにつながる可能性があります。

確認すべき項目は、まず管理画面のパスワードです。初期設定のまま使っている場合は、必ず変更してください。次に、ファームウェアの自動更新を有効にします。ルーターにも脆弱性が見つかるため、更新を放置しないことが重要です。

Wi-Fiの暗号化方式は、可能であればWPA3、難しい場合でもWPA2以上を利用します。古いWEPは使用してはいけません。SSIDやWi-Fiパスワードも初期値のままにせず、来客用Wi-Fiと業務用端末の接続先を分けると、より安全です。

また、外部から管理画面にアクセスできる設定、不要なポート開放、使っていないVPN機能やリモート管理機能は無効にしてください。ルーターは一度設定したら終わりではなく、半年に一度は設定を見直す対象です。

スマホ・パソコンの基本対策

スマホとパソコンは、業務情報にアクセスする入口です。ウイルス対策ソフトやOS標準のセキュリティ機能を有効にし、不審なアプリや拡張機能を入れないことが基本です。

アプリは公式ストアから入手し、レビュー数や提供元を確認します。業務用端末では、私用アプリのインストールを制限する、管理者権限を必要最小限にする、画面ロックを必須にする、といったルールが必要です。

紛失時の対策も重要です。スマホやノートPCには、遠隔ロック、遠隔消去、端末暗号化を設定します。会社貸与端末であれば、紛失時の連絡先と手順を社内に周知してください。端末が1台なくなっただけでも、保存された認証情報やブラウザのログイン状態から被害が拡大することがあります。

不審なメール・SMSへの対応

フィッシング詐欺は、実在する企業や金融機関、配送業者、取引先を装い、偽サイトに誘導してID・パスワードを盗む手口です。前述の警察庁資料(令和7年)では、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は4,747件、被害総額は約103億9,700万円で、フィッシングが手口の約9割を占めるとされています。

確認すべきポイントは、送信元アドレス、本文内のURL、添付ファイル、文面の違和感です。ただし、最近のフィッシングメールは日本語が自然で、見た目だけで判別するのが難しくなっています。

メール内のリンクからログインせず、ブックマークや公式アプリからアクセスする習慣をつけてください。添付ファイルを開いてしまった、ID・パスワードを入力してしまった場合は、すぐにパスワードを変更し、管理者へ報告します。報告を責める文化にすると、次回から隠されます。早期報告を評価する運用が大切です。

公衆Wi-Fi利用時のセキュリティ対策

カフェ、ホテル、駅、空港の公衆Wi-Fiは便利ですが、業務利用には注意が必要です。暗号化されていないWi-Fiでは、通信内容を盗み見られるリスクがあります。また、正規のWi-Fiに似せた偽アクセスポイントが設置されることもあります。

外出先で業務をする場合は、会社指定のVPNを利用し、自動接続設定をオフにしてください。接続先のSSIDが本物か確認し、ログイン画面で不自然な情報を求められた場合は接続しない判断も必要です。

重要な作業、たとえば管理画面へのログイン、銀行振込、顧客情報の閲覧は、公衆Wi-Fiでは避けるのが安全です。どうしても必要な場合は、スマホのテザリングや会社が管理するモバイル回線を使う方が現実的です。

サイバー攻撃への対策は社内のチェックリストの運用だけでは不十分なケースがあるため、セキュリティ対策の専門家に相談することで、リスクを抑えることが可能になります。CyberCrewでは、複数名のホワイトハッカーが在籍し、攻撃者が実際に狙うポイントから現場感のあるテストでリスクを評価します。まずは無料でご相談ください。

サイバー攻撃の被害事例

サイバー攻撃対策を社内で説明するときは、抽象論だけでは伝わりにくいものです。実際に何が起きたのか、どのような影響が出たのかを知ることで、自社のリスクとして考えやすくなります。

ここでは、国内で大きく報道された事例を取り上げます。重要なのは、特定企業の落ち度を探すことではありません。どの会社でも起こり得る教訓として、自社の対策に落とし込むことです。

KADOKAWA・ニコニコ動画への攻撃

2024年6月、KADOKAWAグループは、ニコニコ関連サービスを中心にランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受けました。KADOKAWAの発表によれば、6月8日に複数サーバーへアクセスできない障害が発生し、調査の結果、ドワンゴ専用ファイルサーバーなどが攻撃を受けたことが確認されています。外部漏洩が確認された個人情報は合計254,241人分と公表されています。

この事例で学ぶべきことは、ランサムウェアの被害が「感染した端末だけ」で終わらない点です。認証情報、ファイルサーバー、業務システム、外部サービス、委託先、利用者対応まで影響が広がります。

対策としては、バックアップを取るだけでなく、バックアップが攻撃者から分離されているか、復元手順を定期的に確認しているかが重要です。また、アカウント保護、多要素認証、ログ監視、権限管理、緊急時の広報・法務対応まで含めた体制が必要です。

JALへの攻撃

2024年12月、日本航空はサイバー攻撃によりシステム障害が発生し、国内線・国際線の一部に遅延が生じました。報道によれば、攻撃は社内外をつなぐネットワーク機器に大量のデータが送られたことに起因し、同日中にシステムは復旧、顧客情報の漏洩やウイルス被害は確認されていないとされています。

この事例は、情報漏洩がなくてもサイバー攻撃は重大な事業影響を生むことを示しています。航空、物流、EC、予約システム、決済システムなど、可用性が重要な業種では、DDoS対策、冗長化、監視、障害時の切り替え手順が欠かせません。

WAFやCDN、DDoS対策サービスは、外部からの大量通信を吸収・緩和する選択肢です。ただし、導入して終わりではなく、どのシステムを守るのか、障害時に誰が判断するのかを事前に決めておく必要があります。

トヨタ・小島プレスへの攻撃

2022年、トヨタ自動車の仕入先である小島プレス工業がサイバー攻撃を受け、トヨタの国内全14工場が停止する事態となりました。トヨタイムズでは、小島プレスへの攻撃をきっかけに、トヨタの国内全工場が停止せざるを得ない事態となり、工場停止は1日にとどまったものの、システムの復旧には約1か月を要したと紹介されています。

この事例は、サプライチェーン攻撃の怖さをよく示しています。攻撃者は必ずしも本丸の大企業を直接狙うとは限りません。取引先、委託先、保守会社、クラウドサービス、グループ会社など、守りが薄いところを入口にします

中小企業にとっては、「うちは小さいから狙われない」ではなく、「取引先に影響を与える立場にある」と考える必要があります。取引先からセキュリティチェックシートが届く背景には、このサプライチェーンリスクがあります。

医療機関・電子カルテへの攻撃

医療機関への攻撃では、電子カルテや部門システムが停止し、診療継続に直接影響します。大阪急性期・総合医療センターは、電子カルテの異常を覚知し、ランサムウェアによる重大なシステム障害が発生していることを確認したため、紙カルテ運用など当面の診療体制を決定したと公表しています。

徳島県のつるぎ町立半田病院でも、2021年10月31日にランサムウェア被害を受け、電子カルテをはじめとする院内システムが利用できなくなりました。同院は、2022年1月4日に通常診療を再開したと報告しています。

医療機関の事例から学ぶべきことは、ITシステムの停止がそのまま社会インフラの停止につながる点です。一般企業でも、受発注、製造、配送、会計、顧客対応が止まれば、事業継続上の大きな問題になります。BCPとサイバーセキュリティは切り離せません。

サイバー攻撃の主な種類と手口

サイバー攻撃には多くの種類がありますが、企業担当者が最初に押さえるべきなのは、「どんな攻撃か」「どんな被害が出るか」「対策の方向性は何か」の3点です。

ここでは、実務上よく問題になる攻撃手口を整理します。専門用語も出てきますが、まずは自社でどの攻撃が起きそうかを考えながら読んでください。

ランサムウェア

ランサムウェアは、パソコンやサーバー内のデータを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求する攻撃です。最近は、暗号化だけでなく、事前にデータを盗み出し、「支払わなければ公開する」と脅す二重恐喝型も一般的です。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向け脅威の1位が「ランサムウェア攻撃による被害」です。ランサムウェア攻撃は、順位として5年連続1位、10大脅威での取り扱いとして11年連続11回目とされています。

対策は、入口を防ぐだけでなく、バックアップ、復旧訓練、ネットワーク分離、EDR、ログ監視、インシデント対応計画まで含めて考える必要があります。特にバックアップは、攻撃者に同時に暗号化されない場所に保管することが重要です。

マルウェア

マルウェアとは、悪意あるソフトウェアの総称です。ウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、キーロガーなどが含まれます。メール添付、改ざんされたWebサイト、偽ソフト、USBメモリ、不正広告などから感染します。

被害は、情報窃取、遠隔操作、社内ネットワークへの侵入、他端末への拡散などです。ランサムウェアも広い意味ではマルウェアの一種です。

対策は、OS更新、ウイルス対策、EDR、不審な添付ファイルのブロック、アプリのインストール制限、管理者権限の最小化です。従業員が勝手にフリーソフトを入れられる環境は、リスクが高くなります。

標的型攻撃

標的型攻撃は、特定の企業や組織を狙って行われる攻撃です。取引先、顧客、採用応募者、社内の上司などになりすましたメールを送り、添付ファイルやリンクを開かせる手口が代表的です。

一般的な迷惑メールと違い、業務に関係しそうな内容で届くため、見破りにくいのが特徴です。たとえば「見積書を送付します」「請求書の確認をお願いします」「面接資料です」といった文面で、担当者に開かせようとします。

対策は、メールセキュリティ製品だけに頼らず、従業員教育、標的型メール訓練、添付ファイルのサンドボックス検査、送信元ドメインの確認、社内通報ルールの整備を組み合わせることです。

フィッシング詐欺

フィッシング詐欺は、本物そっくりの偽サイトに誘導し、ID・パスワード、クレジットカード情報、口座情報などを入力させる攻撃です。メールだけでなく、SMS、SNS、電話を組み合わせる手口も増えています。

前述の警察庁資料(令和7年)では、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は4,747件、被害総額は約103億9,700万円で、フィッシングが手口の約9割を占めるとされています。

対策は、メールやSMS内のリンクからログインしないこと、多要素認証を有効にすること、認証アプリやセキュリティキーを活用することです。企業では、経理・総務・役員など、送金やアカウント管理に関わる部署への教育を優先してください。

DDoS攻撃

DDoS攻撃は、多数の端末から大量の通信を送りつけ、Webサイトやネットワークを使えなくする攻撃です。情報を盗むというより、サービス停止を狙う攻撃です。

JALの事例のように、ネットワーク機器や外部接続部分に負荷がかかると、業務システムや予約・販売機能に影響することがあります。

対策は、CDN、DDoS対策サービス、WAF、回線冗長化、監視、障害時の切り替え手順です。ECサイト、予約サイト、会員サイト、公共性の高いサービスでは、特に重要な対策です。

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、Webアプリケーションの入力欄やURLパラメータを悪用し、データベースに不正な命令を実行させる攻撃です。会員サイト、ECサイト、予約システム、問い合わせフォームなど、データベースと連携するWebサイトで問題になります。(参照:IPA|安全なウェブサイトの作り方:SQLインジェクション

被害としては、顧客情報の漏洩、データ改ざん、不正ログイン、管理画面への侵入などが考えられます。IPAの「安全なウェブサイトの作り方」でも、SQLインジェクション対策として、安全なSQL呼び出しやデータベースアカウントの最小権限が説明されています。

対策は、プレースホルダの利用、入力値検証、エラーメッセージの制御、WAF、脆弱性診断です。古いWebシステムを長年使っている企業は、一度診断を受ける価値があります。

ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃は、修正パッチが公開される前、または利用者が修正できる前の脆弱性を狙う攻撃です。防ぐのが難しい理由は、利用者側がまだ「何を直せばよいか」を知らない段階で攻撃されるためです。

とはいえ、何もできないわけではありません。EDR、WAF、権限分離、ログ監視、ネットワーク分離、多層防御により、脆弱性を突かれても被害を限定できます。

また、利用している機器やソフトウェアを把握していなければ、緊急パッチが出ても対応できません。資産管理台帳を整備し、VPN、ルーター、ファイアウォール、サーバー、主要クラウドサービスを一覧化しておくことが前提です。

サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃は、取引先、委託先、保守会社、ソフトウェア提供元などを経由して標的に侵入する攻撃です。自社のセキュリティが強くても、接続先や委託先の管理が弱ければ、そこが入口になります。

トヨタ・小島プレスの事例では、仕入先への攻撃がトヨタの国内全工場停止につながりました。

対策は、委託先管理、アクセス権限の限定、VPNやリモート接続の管理、取引先とのインシデント連絡体制、セキュリティチェックシートの整備です。大手企業との取引では、今後さらにサプライチェーン全体のセキュリティ水準が問われます。

不正アクセス・パスワード関連攻撃

不正アクセスの多くは、ID・パスワードの悪用から始まります。漏洩済みパスワードを試すパスワードリスト攻撃、機械的に組み合わせを試す総当たり攻撃、なりすましログインなどがあります。

特にクラウドサービスは、インターネットからログイン画面にアクセスできるため、攻撃対象になりやすい領域です。Microsoft 365、Google Workspace、VPN、勤怠システム、会計ソフト、EC管理画面などは、必ず多要素認証を設定してください。

対策は、パスワード使い回し禁止、多要素認証、ログイン通知、条件付きアクセス、不要アカウントの削除、退職者アカウントの即時停止です。アカウント管理は地味ですが、最も費用対効果の高い対策の一つです。

IoT機器・ルーターを狙った攻撃

防犯カメラ、複合機、NAS、ルーター、VPN機器、スマート家電なども攻撃対象です。これらの機器は一度設置すると放置されやすく、初期パスワードや古いファームウェアが残りがちです。

攻撃者は、乗っ取ったIoT機器をボットネットに組み込み、DDoS攻撃の踏み台にしたり、社内ネットワークへの入口にしたりします。会社の複合機やNASに機密情報が保存されている場合、情報漏洩にもつながります。

対策は、初期パスワード変更、ファームウェア更新、不要サービス停止、外部公開の見直し、ネットワーク分離です。特にVPN機器やルーターは、外部から直接狙われるため、資産管理と更新状況の確認を必ず行ってください。

企業が実施すべきサイバー攻撃対策

企業のサイバー攻撃対策は、「入口対策」「内部対策」「出口対策」の3層で考えると整理しやすくなります。

入口対策は、攻撃を社内に入れないための対策です。内部対策は、侵入された後に早く気づき、被害を広げないための対策です。出口対策は、情報の持ち出しや不正通信を防ぐための対策です。

中小企業では、最初からすべてを導入する必要はありません。まずは、重要な情報資産と業務停止時の影響を整理し、優先順位をつけることが現実的です。

外部からの侵入を防ぐ入口対策

入口対策の中心は、ファイアウォール、UTM、メールセキュリティ、WAF、VPN管理です。ファイアウォールは不要な通信を遮断する門番、UTMは複数のセキュリティ機能をまとめた統合機器、WAFはWebアプリケーションへの攻撃を防ぐ仕組みです。

中小企業では、まずインターネットに公開している機器を洗い出してください。VPN、リモートデスクトップ、Webサーバー、NAS、管理画面が外部公開されていないかを確認します。使っていないポートやサービスは閉じ、管理画面にはIP制限や多要素認証を設定します。

メール対策も重要です。不審な添付ファイル、なりすましメール、危険なURLをブロックする仕組みを導入し、SPF、DKIM、DMARCといった送信ドメイン認証も設定します。

Webサイトや会員システムを運営している場合は、WAFや脆弱性診断を検討してください。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、Web特有の脆弱性は外部から直接狙われます。

侵入された後の被害を広げない内部対策

現代のセキュリティでは、「侵入されない」だけでなく、「侵入される前提で被害を抑える」考え方が重要です。これをゼロトラストの考え方に近いものとして理解するとよいでしょう。すべてを信用せず、必要な人に必要な権限だけを与え、常にログを確認する発想です。

内部対策としては、EDR、ログ監視、アクセス権限の最小化、ネットワーク分離、管理者権限の制限があります。EDRは、端末上の不審な挙動を検知・調査する仕組みです。従来のウイルス対策だけでは見つけにくい攻撃の痕跡を追える点が特徴です。

アクセス権限も見直してください。全社員がすべての共有フォルダを見られる状態は危険です。経理、人事、営業、開発、経営資料など、必要な人だけがアクセスできるようにします。

ログ監視は、異常なログイン、深夜の大量ダウンロード、海外からのアクセス、退職者アカウントの利用などを見つけるために必要です。専任担当がいない場合は、MDRやMSPなど外部運用サービスの利用も現実的です。

情報の持ち出しを防ぐ出口対策

出口対策は、社内から外部へ情報が出ていく経路を監視・制御する対策です。DLP、通信の暗号化、不正通信の遮断、クラウドストレージの共有制御、USBメモリ制限などが該当します。

たとえば、個人情報を含むファイルが外部メールに添付された場合に警告する、許可されていないクラウドストレージへのアップロードをブロックする、大量データの持ち出しを検知するといった仕組みです。

出口対策は、従業員を疑うためではなく、誤送信やマルウェアによる情報流出を防ぐためにあります。特に、顧客情報、マイナンバー、医療情報、決済情報、設計図、営業秘密を扱う企業では、入口・内部対策と同じくらい重要です。

従業員へのセキュリティ教育と標的型メール訓練

サイバー攻撃の入口には、人の判断ミスが関係することがあります。不審なメールを開く、偽サイトにログインする、USBメモリを挿す、パスワードを使い回す、退職者アカウントを放置する。こうした行動を減らすには、教育と訓練が必要です。

教育は年1回の資料配布だけでは不十分です。短い動画、社内掲示、月1回の注意喚起、実例共有、標的型メール訓練を組み合わせると効果が出やすくなります。

標的型メール訓練では、従業員を責めるのではなく、「怪しいと気づく」「開いてしまったら報告する」「報告が早ければ被害を防げる」という文化を作ることが目的です。訓練後は部署別の傾向を確認し、必要な教育を追加します。

専門家への相談

専任の情シスやセキュリティ担当者がいない中小企業では、すべてを自社だけで対応するのは現実的ではありません。機器の設定、ログ監視、脆弱性診断、インシデント対応、取引先チェックシート対応などは、専門家に相談した方が早い場面があります

IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業向けに、見守り、駆付け、保険などをワンパッケージにした制度です。デジタル化・AI導入補助金のセキュリティ対策推進枠では、お助け隊サービスリストに掲載されたサービスが補助対象とされています。

相談すべきタイミングは、取引先からセキュリティ体制を問われたとき、VPNやサーバーを外部公開しているとき、顧客情報を扱うWebシステムを運営しているとき、過去にマルウェア感染や不審ログインがあったときです。被害が起きてから探すより、平時に相談先を決めておく方が安全です。

サイバー攻撃対策ならCyberCrew

CyberCrewは、攻撃者視点で企業のサイバーリスクを可視化し、脆弱性診断、ペネトレーションテスト、ダークウェブモニタリングなどを提供しています。

「何から始めればよいかわからない」という企業には、まず現状把握をおすすめします。外部公開されているサーバーやWebサイト、VPN機器、クラウドサービス、管理画面、漏洩済みアカウント情報を確認し、優先順位をつけて対策することが重要です。

CyberCrewのペネトレーションテストでは、単に脆弱性を列挙するだけでなく、攻撃者がどの経路で侵入し、どこまで到達できるかを検証します。脆弱性診断で弱点を洗い出し、重要箇所を侵入検証することで、攻撃経路として成立するリスクに優先順位を付けると説明されています。

対応範囲は、Webアプリケーション、ネットワーク、クラウド環境、外部公開資産、認証・権限設定、漏洩アカウント調査など、企業の状況に応じて設計できます。料金は対象範囲、システム規模、診断内容、報告会の有無によって変わるため、まずは無料相談で現状と目的を共有いただくのが確実です。

サイバー攻撃対策は、被害が起きてからでは時間も費用も大きくなります。取引先からの要求に対応したい、社内のリスクを整理したい、どこまで対策すべきか判断したい場合は、CyberCrewへご相談ください。

サイバー攻撃対策に関するよくある質問

Q.サイバー攻撃の対策の例は?

代表的な対策は、OS・ソフトウェアの更新、多要素認証、ウイルス対策・EDR、バックアップ、従業員教育です。まずはこの5つを優先してください。加えて、Webサイトを運営している企業はWAFや脆弱性診断、外部公開機器がある企業はVPNやルーターの更新管理も重要です。

Q.サイバー攻撃のワースト1位は?

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向け脅威の1位は「ランサム攻撃による被害」です。順位としては5年連続1位であり、10大脅威での取り扱いとしては11年連続11回目です。

Q.セキュリティ対策の5つの備えとは?

企業では、入口対策、内部対策、出口対策、従業員教育、インシデント対応の5つを備えることが重要です。入口対策で侵入を防ぎ、内部対策で侵入後の拡大を抑え、出口対策で情報流出を防ぎます。さらに、教育で人的ミスを減らし、インシデント対応手順で被害発生時の混乱を抑えます。

Q.サイバー攻撃は個人でも標的になるのか?

個人も標的になります。特にフィッシング詐欺やインターネットバンキング不正送金は、個人利用者にも大きな被害を出しています。警察庁の令和7年資料では、インターネットバンキング不正送金の手口の約9割がフィッシングとされています。

Q.サイバー攻撃を受けたらどうすればよいか?

まず、感染が疑われる端末をネットワークから切り離します。(LANケーブルを抜くだけでなく)Wi-Fiも確実にオフにします。次に、電源をむやみに切らず、画面、時刻、メール、ログなどの証拠を保全します。そのうえで、社内責任者、セキュリティ専門家、警察、必要に応じて所管官庁や取引先へ連絡してください。判断に迷う場合は、早い段階で専門家に相談することが重要です。

まとめ

サイバー攻撃対策で最初に取り組むべきことは、難しいツールの導入ではありません。まずは、OS更新、多要素認証、バックアップ、従業員教育、インシデント時の連絡体制を整えることです。

そのうえで、自社の状況に応じて、入口対策、内部対策、出口対策を組み合わせます。外部公開システムがある企業はWAFや脆弱性診断、クラウドを多用する企業はアカウント管理とログ監視、取引先からの要求が強い企業はセキュリティ体制の文書化が必要です。

KADOKAWA、JAL、トヨタ・小島プレス、医療機関の事例からもわかるように、サイバー攻撃は情報漏洩だけでなく、業務停止、取引停止、社会的信用の低下につながります。

「何から始めるべきか」「自社の弱点を確認したい」「取引先に説明できる状態にしたい」という場合は、CyberCrewへご相談ください。予算がない、人がいない中小企業こそ、まずは現状の弱点を知る『診断』から始めるべきです。攻撃者視点の診断と実践的なレポートで、優先順位のあるセキュリティ対策を支援します。

投稿者プロフィール

中川 貴行
中川 貴行
Head of Business / Evangelist
CyberCrewの事業責任者として、企業の情報セキュリティ対策を総合的に支援。脆弱性診断やペネトレーションテスト、インシデント対応、セキュリティ教育まで幅広い領域を統括し、企業ごとの課題やリスクに応じた最適な支援体制の構築を推進しています。ホワイトハッカーの知見と事業視点をつなぎ、現場で機能する実践的なセキュリティ対策の提供を通じて、企業の安全なIT環境づくりを支えています。


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