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ペネトレーションテストの費用相場は?2026年の予算で見落としたくない考え方

2026年のセキュリティ予算を考えるとき、ペネトレーションテストをどこまで見込むべきかで悩む企業は少なくありません。必要性は分かっていても、見積もりの幅が広く、何を基準に判断すべきかが見えにくいからです。

実際のところ、ペネトレーションテストの費用は一律ではありません。何を対象にするのか、どこまで深く検証するのか、環境がどれだけ複雑かによって、価格はかなり変わります。大切なのは、金額だけを見ることではなく、その費用でどのリスクをどこまで減らせるのかを見極めることです。

まず、ペネトレーションテストは何をするものか

ペネトレーションテストは、単なる機械的なスキャンではありません。攻撃者が実際に狙ったとき、どこから入り、どこまで進めるのかを、現実に近い形で検証する取り組みです。ペネトレーションテストの基礎も理解しておきましょう。

脆弱性の有無を一覧で並べるだけでなく、その弱点を足がかりにして顧客情報へ届くのか、権限を奪えるのか、別システムへ横移動できるのかまで見ていきます。今の攻撃は、ひとつの大きな欠陥だけで成立するとは限りません。小さな設定ミス、運用上の甘さ、既知の脆弱性を組み合わせて深く入ってくることが多いため、実際の到達可能性を見る意味が大きくなっています。

脆弱性診断との違いを先に整理しておく

ペネトレーションテストと脆弱性スキャンは混同されやすいのですが、役割はかなり違います。

脆弱性スキャンは、広く、早く、定期的に確認するためのものです。既知の問題を拾うには有効で、日常的なチェックとして欠かせません。一方で、検出結果が多くなりやすく、それが本当に危険な経路になるかどうかまでは分かりにくいことがあります。

ペネトレーションテストは、範囲は絞られても深く見ます。攻撃者の立場でたどれる経路を確認し、「実際にどこまでやられるのか」を把握するためのものです。

いまの企業に必要なのは、どちらか片方ではなく、両方を役割分担して使う考え方です。スキャンで広く監視し、ペネトレーションテストで本当に危ない部分を深く確かめる。この組み合わせのほうが、実務では無理がありません。

2026年の費用感は、対象ごとにかなり変わる

ここでいう費用感は、国内企業が予算を組むときの目安として見たざっくりしたレンジです。実際の金額は、対象範囲、業種、検証深度、報告内容で大きく動きます。

Webアプリケーションのペネトレーションテスト

Webアプリケーションの検証は、もっとも相談が多い領域です。日本国内の相場は、システムの複雑さ(機能数や画面数)によって大きく変動しますが、「検証をスタートできる最低価格の目安」としては、50万円〜300万円程度がひとつの基準となります。

中〜大規模(200万〜500万円以上): ユーザーごとに権限(管理者/一般)が分かれている、API連携がある、ECサイトのように決済が絡むなど。

小規模(50万〜100万円): 認証機能(ログイン)や決済機能がない、シンプルなサービスサイトなど。

小規模なサービスサイトや機能が限定されたアプリであれば下限に近づきますが、認証、権限管理、管理画面、API、決済、外部連携が入ると一気に工数が増えます。売上や顧客接点を支えるアプリほど、浅い確認では足りなくなりやすい印象です。

ネットワークのペネトレーションテスト

ネットワーク領域は、診断の「アプローチ」と「範囲」によって最低価格のスタートラインが大きく変わります。

内部からの診断(300万円〜500万円以上): 社内ネットワークやクラウド環境(AWS等)の内部に侵入されたと仮定し、複数拠点やセグメントをまたいで検証。

外部からの診断(100万円〜): インターネット上に公開されているサーバーや資産(IPアドレス数換算)を外から攻撃。

外部公開資産だけを見るのか、内部ネットワークまで含めるのか、拠点数やクラウド接続、セグメント分割の状況はどうかで差が出やすいためです。

単純な外部診断と、複数拠点・クラウド・社内環境をまたぐ検証では、見ているものが別と言っていいくらい違います。費用差が大きいのは不自然ではありません。

モバイルアプリのペネトレーションテスト

モバイルアプリは、80万円〜200万円程度がひとつの目安になります。アプリ本体だけでなく、API、認証方式、端末内保存、通信の暗号化、セッション管理まで見る必要があるためです。

見た目には小さなアプリでも、裏側のAPIや認証処理が複雑だと、検証の深さが必要になります。ユーザー情報やアカウント保護に直結する分野なので、軽く見ないほうが安全です。

見積もりに差が出る理由は、範囲より“深さ”にあることが多い

同じペネトレーションテストでも、見積もりに大きな差が出るのは珍しくありません。主な理由は次のとおりです。

価格差が出る要素見るべきポイント
対象範囲単一システムか、複数の連携システムか
環境の複雑さオンプレミス、クラウド、ハイブリッドの混在有無
テスト方式ブラックボックス、グレーボックス、ホワイトボックスの違い
検証の深さ表面的な確認か、攻撃経路まで踏み込むか
報告内容技術詳細だけか、経営サマリーや優先順位整理も含むか
再診断修正後確認が含まれるか、別料金か

特に見落としやすいのが、同じ「診断あり」と書かれていても、どこまで攻撃シナリオを追うのかが違う点です。安い見積もりが悪いとは限りませんが、単に項目を確認するだけなのか、実際に影響度まで見てくれるのかで、得られる価値はかなり変わります。

テスト方式の違いでも、費用と向き不向きが変わる

ペネトレーションテストでは、事前にどこまで情報を渡すかでも設計が変わります。

ブラックボックス

事前情報をほとんど渡さず、外部の攻撃者に近い条件で進める方式です。現実に近い一方で、調査や足場づくりに時間がかかるため、費用は上がりやすくなります。

グレーボックス

一部の情報や限定的なアカウントを共有して進める方式です。現実性と効率のバランスが取りやすく、実務では選ばれやすい印象があります。

ホワイトボックス

設計情報やソースコード、構成情報まで共有して進める方式です。深く見やすく、見落としを減らしやすい反面、「外部からどこまで見えるか」を測る目的とは少し違ってきます。

重要なのは、予算に合わせて方式を選ぶことではなく、何を確認したいのかに合わせることです。

見積もりを見るときは、金額より先に中身を確認する

見積もり比較でありがちなのが、総額だけで判断してしまうことです。実際には、次の点が明確に書かれているかどうかのほうが大切です。

  • どこまでが対象か(対象外の範囲)
  • どの方式で検証するのか(ブラック/グレー/ホワイトボックス)
  • ペネトレーションテストの料金内に「脆弱性診断(網羅的スキャン)」の工程があらかじめ含まれているか
  • 報告書には何が含まれるのか(経営向けサマリーの有無など)
  • 再診断(修正後の確認テスト)の有無、および「追加費用」や「実施の有効期限」の有無
  • 報告会や質疑対応などのアフターサポートはあるか

曖昧な見積もりは、後から追加費用や認識のずれにつながりやすくなります。少なくとも3社程度は比較し、価格だけでなく、方法論、実績、報告の分かりやすさ、修正支援の有無まで見たほうが判断しやすくなります。

予算を抑えるなら、対象を削るより順番を決めるほうがいい

コストを抑えたいときに、全部を薄く見るより、重要なところから順に深く見るほうが結果は良くなりやすいです。

たとえば、最初から全資産を対象にするのではなく、まずは次のような領域を優先します。

  • 顧客情報を扱うシステム
  • 売上や決済に直結するサービス
  • 外部公開されている管理系機能
  • クラウド上の重要ワークロード
  • 認証や権限管理の中心になる基盤

そのうえで、日常のモニタリングは脆弱性スキャンで広く回し、ペネトレーションテストは影響の大きい箇所へ集中させる。この組み合わせのほうが、予算効率は上がりやすいです。

予算化しやすい3つの考え方

予算化にあたっては、自社のシステムの複雑さやセキュリティ要件に応じて、以下の「最低価格のスタートライン」を基準に検討するとスムーズです。

プランイメージ目安該当するケース
ライト50万〜100万円単一の小規模アプリや、対象を絞った初回検証
スタンダード150万〜300万円複数システム、API、認証、権限周りまで含めたいケース
プレミアム500万円以上大規模環境、複数拠点、重要インフラ、厳しい監査要件があるケース

ここで大切なのは、高いプランが常に正しいということではありません。自社のリスクと目的に合っているかどうかです。必要以上に広げても消化しきれませんし、逆に狭すぎると本当に見たい経路が抜けます。

ペネトレーションテストは、報告書を受け取って終わりではありません

実務で差が出るのは、報告書のあとの動きです。何が危ないのか、なぜ危ないのか、どこから直せばいいのかが整理されていないと、せっかく検証しても改善につながりにくくなります。

良い報告では、少なくとも次の点が見えます。

  • 技術的な問題点
  • 事業影響の整理
  • 攻撃経路として見た危険度
  • 修正の優先順位
  • 対応の方向性
  • 修正後に再確認すべきポイント

報告会や質疑対応、再診断の有無が重視されるのはそのためです。テストそのものより、その結果をどう使って改善するかで、費用対効果はかなり変わります。

最後に見るべきなのは、金額ではなく減らせるリスクです

2026年のペネトレーションテストは、単なる監査対応や形式的な確認では足りなくなっています。攻撃者は小さな弱点を組み合わせ、認証や設定不備も含めて現実的な侵入経路を探してきます。だからこそ、こちらも「脆弱性があるか」だけでなく、「実際にどこまで届かれるのか」を見ておく必要があります。

費用の幅が大きいのは事実です。ただ、そこで見るべきなのは「いくらかかるか」だけではありません。その金額で、どのリスクを、どこまで減らせるのか。そこまで見えてはじめて、予算としての意味が出てきます。

ペネトレーションテストを予算化するときは、単なる金額の比較で終わらせず、自社の重要資産と「本当に確認すべき攻撃経路」を明確にすることが、無駄のない投資への第一歩です。CyberCrewは、お客様の課題に深く寄り添うパートナーとして、診断結果を「次の具体的な一歩」へとつなげ、揺るぎない守りを共に築き上げていくことをお約束します。

投稿者プロフィール

イシャン ニム
イシャン ニム
Offensive Security Engineer
15年以上の実績を持つ国際的なホワイトハッカーで、日本を拠点に活動しています。「レッドチーム」分野に精通し、脆弱性診断や模擬攻撃の設計を多数手がけてきました。現在はCyberCrewの主要メンバーとして、サイバー攻撃の対応やセキュリティ教育を通じ、企業の安全なIT環境構築を支援しています。
主な保有資格:
● Certified Red Team Specialist(CyberWarFare Labs / EC-Council)
● CEH Master(EC-Council)
● OffSec Penetration Tester(Offensive Security)

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