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Synology製NASを狙うランサムウェア攻撃が発生、修正済みDSM脆弱性の悪用手口と対策

オフィスデスクに設置されたネットワークストレージ機器

The Hacker Newsの報道によると、台湾Synology社のネットワーク接続ストレージ(NAS)を標的としたランサムウェア攻撃が確認されました。攻撃者は2024年12月に修正されたDiskStation Manager(DSM)の脆弱性を悪用し、更新が適用されていない機器のデータを暗号化して身代金を要求しています。同社は影響を受けるバージョンを利用している全ユーザーに対し、直ちにファームウェアを更新するよう呼びかけています。

The Hacker News:Synology NAS Devices Targeted in Ransomware Attacks Exploiting Patched DSM Flaw

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この記事のポイント

影響のあるシステム

  • DSM 7.2.2-72806-1 未満のバージョンを実行しているSynology NAS
  • DSM 7.2.1-69057-6 未満のバージョンを実行しているSynology NAS
  • DSM 7.2-64570-4 未満のバージョンを実行しているSynology NAS
  • DSM 7.1.1-42962-7 未満のバージョンを実行しているSynology NAS
  • DSM 6.2.4-25556-8 未満のバージョンを実行しているSynology NAS
  • CVE-2021-28799が未修正のQNAP Hybrid Backup Sync(HBS 3)を稼働させている機器

推奨される対策

  • 稼働中のDSMのバージョンを確認し、DSM 7.2.2-72806-1、7.2.1-69057-6、7.2-64570-4、7.1.1-42962-7、6.2.4-25556-8以降の修正済みバージョンへ直ちに更新する
  • DSMの自動更新機能を有効化し、常に最新のファームウェアが適用される状態を維持する
  • 機器への接続元IPアドレスを信頼できる特定のIPのみに制限し、インターネットからの不要な直接アクセスを遮断する
  • 推測されにくい複雑な管理者パスワードを設定し、総当たり攻撃による不正ログインを阻止する

この記事に出てくる専門用語

  • DSM(DiskStation Manager):Synology製のNASに搭載されている専用のLinuxベースのオペレーティングシステム。今回の攻撃では、このDSMの修正済み脆弱性が悪用されています。
  • CVE-2024-10441:DSMのシステムプラグインデーモンに存在するリモートコード実行の脆弱性(CVSS 9.8)。今回の注意喚起で修正対象として挙げられた深刻な欠陥の一つです。
  • C3RB3R:NAS機器を標的として活動するランサムウェア。感染した端末のファイルを暗号化し、拡張子を「.L0CK3D」に変更して身代金を要求します。
  • eCh0raix:QNAPCryptとも呼ばれる、NAS機器を主な標的とするランサムウェア。QNAP製品とSynology製品の双方を攻撃対象とする亜種が確認されています。

Synology製NASを狙うランサムウェア攻撃の経緯

オフィスのサーバールームでストレージ機器を確認する様子

The Hacker Newsの報道によると、台湾のSynology社は自社製NAS機器で稼働するOS「DiskStation Manager(DSM)」の脆弱性を悪用したランサムウェア攻撃を観測し、利用者へ緊急のアップデートを促しました。攻撃者は過去に修正パッチが提供された脆弱性を突いて、古いバージョンのまま稼働している機器へ侵入しています。

NAS機器は企業の重要データやバックアップの保管先として使われるケースが多く、攻撃者にとっても格好の標的となります。私たち診断員の目線でも、NASは社内設置の意識が強くパッチ適用が後回しになりがちな機器の一つです。インターネット経由で管理画面やファイル共有機能が外部に公開されている場合、修正パッチが未適用の状態は侵入の直接の引き金になります。

過去にもNASを狙う攻撃は繰り返されており、2019年にはQNAPCryptことeCh0raixランサムウェアによる被害が発生しました。さらに2021年8月にはStealthWorkerマルウェアによる管理者の総当たり攻撃が観測されるなど、手口を変えながら長期間にわたりNASが狙われ続けています。

出典:Palo Alto Networks「New eCh0raix Ransomware Variant Targets QNAP and Synology Network-Attached Storage Devices」

攻撃の対象となっているDSMの脆弱性と修正バージョン

ネットワークストレージ機器を防御する概念イラスト

The Hacker Newsによると、Synology社は今回の攻撃で具体的にどの脆弱性が悪用されたかを名指ししていませんが、2024年11月に公開されたセキュリティアドバイザリを案内しています。このアドバイザリでは深刻度が異なる3件の脆弱性が公表されていました。

  • CVE-2024-10441(CVSS 9.8):DSMのシステムプラグインデーモンにおける出力のエスケープ不備により、リモートで任意のコードを実行される脆弱性
  • CVE-2024-50629(CVSS 5.3):webapiコンポーネントにおける出力のエスケープ不備により、遠隔の攻撃者に限定的なファイルを読み取られる脆弱性
  • CVE-2024-10445(CVSS 4.3):アップデート機能における証明書検証の不備により、遠隔の攻撃者に限定的なファイルを書き込まれる脆弱性

脆弱性を修正するために同社が案内している更新バージョンは、DSM 7.2.2-72806-1以上、DSM 7.2.1-69057-6以上、DSM 7.2-64570-4以上、DSM 7.1.1-42962-7以上、DSM 6.2.4-25556-8以上です。利用中のブランチに合わせて、指定されたビルド番号以降へ引き上げます。

特にCVSS 9.8を記録したCVE-2024-10441のような遠隔コード実行の欠陥は、認証を経ずにシステム権限を奪われる恐れがあります。修正パッチが2024年12月に提供されている以上、攻撃者は公開されたパッチ情報を分析して未対策の機器を探し出しています。

C3RB3RランサムウェアがNAS内のファイルを暗号化する手口

ストレージ上のファイルが暗号化されるイメージイラスト

The Hacker Newsの報道によると、被害を受けた利用者からはC3RB3Rランサムウェアに感染したとの報告が寄せられています。C3RB3Rは侵入した端末内のファイルを暗号化し、拡張子を「.L0CK3D」へと書き換えたうえで、各ディレクトリに「read-me3.txt」という身代金要求メモを残します。

セキュリティベンダーQihoo 360の分析によると、C3RB3Rは暗号化を行う際に27個のディレクトリとBAT、DLL、EXE、LNK、MOD、MSI、SYSといった特定の拡張子を除外して処理を進めます。これはOSの動作停止を防ぎ、ランサムウェア自身が確実に暗号化処理を完遂できるようにするための工作です。

同分析では、C3RB3Rが2026年9月にSynology社が修正したSCGIコンポーネントの脆弱性(CVE-2026-13684、CVSS 9.8)やログインロジックの脆弱性(CVE-2026-13639、CVSS 9.8)を悪用してきた経歴も指摘されています。攻撃者は古い欠陥から比較的新しい欠陥まで、複数の侵入手段を組み合わせて未更新のNASを探し回っています。

インターネットに接続されたNASで直ちに実施すべき対策

Palo Alto Networksの調査報告では、Cortex Xpanseの観測データとして約25万台のQNAP製およびSynology製NASがインターネット上に露出している実態が明かされています。管理画面がグローバルIPから到達できる状態にある機器は、世界中の攻撃ツールから常時スキャンを受けています。

Synology製NASを運用している管理者は、まず管理画面から稼働中のDSMバージョンを確認し、修正済みビルド以降になっているかを確かめます。未適用の場合は速やかにアップデートを実行し、あわせて自動更新機能を有効にして今後のパッチ漏れを防止します。

さらにPalo Alto Networksが推奨するように、接続元IPアドレスを信頼できる通信元のみに制限するアクセス制御や、推測が困難な複雑な管理者パスワードへの変更を並行して実施します。攻撃者は脆弱性攻撃が通じない場合でもパスワード総当たり攻撃を仕掛けてくるため、多層的な防御を固める方針をとります。

出典:Palo Alto Networks「New eCh0raix Ransomware Variant Targets QNAP and Synology Network-Attached Storage Devices」

参考文献・記事一覧

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