
「外注する前に、まず自社でどこまで確認できるのか知りたい」
「Kali Linux や Metasploit は聞いたことがあるけれど、どれを選べばいいのか分からない」
ペネトレーションテストツールを調べ始めると、こうした壁にぶつかる方は少なくありません。
先に結論を言うと、ペネトレーションテストは1本の万能ツールで完結するものではなく、工程ごとに使い分けるのが基本です。なかでも、最初の一歩として押さえやすいのは Kali Linux を土台に、Nmap と OWASP ZAP から始める構成です。
Webアプリ中心なら Burp Suite、ネットワークの可視化なら Wireshark、より踏み込んだ検証は Metasploit Framework という考え方が分かりやすいでしょう。Kali Linux は情報収集からレポートまで幅広い用途を想定したペンテスト向けディストリビューションで、Nmap はポート・サービス・OS 推定、Burp Suite と ZAP は Web アプリ診断、Wireshark はパケット解析、Metasploit は侵入検証の代表格として公式に位置づけられています。
この記事では、次の3点を分かりやすく整理します。
- ペネトレーションテストツールの種類と選び方
- おすすめ7選と、それぞれの向き不向き
- 自社で実施する際の流れと、法的・実務的な注意点
CyberCrewのペネトレーションテストは、ホワイトハッカーによる攻撃者視点での模擬攻撃を通じて、どこまで突破され、どこに影響するのか”を再現・検証する実践型のセキュリティ評価です。単なる脆弱性の列挙にとどまらず、本質的なリスクを明らかにします。
TABLE OF CONTENTS
ペネトレーションテストとは?
ツールの話に入る前に、まずは前提を揃えておきたいところです。
ペネトレーションテストは「何となく危なそうなところを探す作業」ではありません。攻撃者の視点で、実際に侵入や悪用が成立するかを検証する耐性評価です。NIST でも、現実の攻撃を模倣し、セキュリティ機能を回避できるかを試す評価として定義されています。
ペネトレーションテスト(ペンテスト)の概要

ペネトレーションテストは、外部または内部の攻撃者になりきって、自社システムに対する疑似攻撃を行い、どこまで侵入できるか、何に到達できるかを確かめるセキュリティテストです。現場では「ペンテスト」「侵入テスト」と呼ばれることもあります。Rapid7 の Metasploit ドキュメントでも、ペネトレーションテストは自社または顧客の IT システムを、攻撃者と同じ視点で攻める実践的な検証として説明されています。
脆弱性があるかどうかを見るだけで終わらず、その脆弱性が本当に悪用できるのか、複数の弱点をつなぐとどうなるのかまで確かめるのがポイントです。たとえば、外部公開サービスの設定不備、認証の弱さ、権限設計の甘さが単独では小さく見えても、組み合わせると重大事故につながることがあります。ペネトレーションテストは、まさにその「つながったときの危険性」を見える化するための手段です。
脆弱性診断との違い(比較表)
脆弱性診断は弱点を広く洗い出すもの、ペネトレーションテストはその弱点で実際に何が起きるかを見るものです。PCI SSC も vulnerability scan と penetration test を別の評価手法として明確に区別しています。OWASP の WSTG でも、ペネトレーションテストだけに頼らず、バランスの取れた testing program を組むべきだと整理されています。
| 比較軸 | 脆弱性診断 | ペネトレーションテスト |
|---|---|---|
| 目的 | 弱点の洗い出しと優先順位付け | 実際に侵入・悪用できるかの検証 |
| 範囲 | 網羅的に広く確認 | 攻撃シナリオに沿って深く確認 |
| 手法 | 自動スキャン+手動確認 | 情報収集、検証、侵入試行、到達確認 |
| コスト | 比較的抑えやすい | 工数が大きくなりやすい |
| 期間 | 数日〜数週間 | 数週間〜数か月になることもある |
上司や経営層に説明するなら、脆弱性診断は健康診断、ペネトレーションテストは防災訓練と置き換えると伝わりやすくなります。最初の一歩で現状把握をしたいなら脆弱性診断、実害ベースで耐性を確かめたいならペネトレーションテストです。
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ペネトレーションテストツールとは?

ここからはペネトレーションテストの際に用いる「ツール」について解説します。
ここで大事なのは、ペネトレーションテストツールは攻撃そのものを自動で全部やってくれる魔法の箱ではないということです。実際には、工程ごとに役割の違うツールを組み合わせて使います。
ペネトレーションテストツールとは何をするソフトウェアか
ペネトレーションテストツールは、情報収集、脆弱性スキャン、通信解析、Web アプリの検証、侵入試行といった各工程を支援する専用ソフト群です。たとえば Nmap はネットワークの見える化、OWASP ZAP と Burp Suite は Web アプリ診断、Wireshark は通信解析、Metasploit Framework は脆弱性の評価や侵入検証に向いています。どれか1本で全工程を埋めるのではなく、目的に応じて並べて使うのが基本です。
Kali Linux がよく名前に挙がるのは、この「複数ツールをまとめて使う」前提に合っているからです。Kali Linux は、ペネトレーションテストやセキュリティ監査向けに設計された Debian ベースのディストリビューションで、多数の代表的ツールをまとめて扱える土台になります。ゼロから個別に環境構築するより、学習や検証のスタート地点として使いやすいのが強みです。
ペネトレーションテストツールでできること・できないこと
ツールでできることは、主に3つあります。
1つ目は、対象システムの構成や公開面を把握すること。
2つ目は、既知の弱点や怪しい挙動を見つけること。
3つ目は、実際に通信や応答を見ながら、どこが危ないかを裏付けることです。
Nmap のサービス検出、ZAP や Burp Scanner のスキャン、Wireshark のパケット解析はその代表例です。
一方で、できないこともあります。
ツールだけで、すべての脆弱性を見つけられるわけではありません。OWASP WSTG でも、ペネトレーションテストを含む各手法には得意不得意があり、手動確認や設計理解が欠かせないとされています。
特に、業務ロジック不備、権限まわりの抜け道、複数条件が重なって成立する攻撃シナリオは、自動化だけでは拾いにくい部分です。ツールはあくまで判断を助ける道具であって、最後に必要なのは設計理解と検証の目線です。
ツールをそろえるだけでは検証できないリスクは、サイバーセキュリティ会社に調査してもらうことが重要です。CyberCrewのペネトレーションテストは、ホワイトハッカーによる攻撃者視点での模擬攻撃を通じて、どこまで突破され、どこに影響するのか”を再現・検証する実践型のセキュリティ評価です。単なる脆弱性の列挙にとどまらず、本質的なリスクを明らかにします。
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ペネトレーションテストツールの種類と選び方
ここを整理しておくと、ツール選定で迷いにくくなります。
実務では、工程・対象・運用負荷・予算の4つで見るとかなり判断しやすくなります。ツールの知名度だけで決めると、導入したのに使い切れない、ということが起きがちです。
ツールの種類を工程別に理解する
ペネトレーションテストツールは、ざっくり5種類に分けて考えると分かりやすいです。
| 種類 | 役割 | 代表例 |
|---|---|---|
| 情報収集 | ホスト、ポート、サービス、OSの把握 | Nmap |
| 脆弱性スキャン | 既知の弱点の洗い出し | OWASP ZAP、Burp Scanner |
| エクスプロイト / 検証 | 悪用可能性の確認 | Metasploit Framework |
| Webアプリ診断 | HTTP リクエストの観察・改変・検証 | Burp Suite、OWASP ZAP |
| ネットワーク解析 | パケットの捕捉と異常の観察 | Wireshark |
この整理に沿って読むと、「まず Nmap で見える化し、Web は ZAP か Burp で確認し、必要に応じて Metasploit で実証、通信は Wireshark で裏取りする」という流れが見えてきます。最初から全部を触る必要はありません。まずは、自社の対象に近い工程から始める方が現実的です。
無料(OSS)と有料の違い(比較表)
無料の OSS ツールと有料ツールは、どちらが優れているというより、向いている場面が違います。OWASP ZAP や Metasploit Framework、Wireshark、Nmap は無料で始めやすく、学習や小規模な確認に向いています。一方、Burp Suite Professional のような商用ツールは、自動化、スキャン精度、レポート、継続運用のしやすさで優位です。PortSwigger も Community Edition を「学習向けの基本的な手動ツールキット」、Professional を「職業的な AppSec テスト向け」と明確に分けています。
| 比較軸 | 無料 / OSS | 有料 / 商用 |
|---|---|---|
| コスト | 導入費ゼロで始めやすい | 費用が発生する |
| カスタマイズ | 柔軟 | 製品設計に沿う |
| サポート | 基本はコミュニティ | ベンダーサポートあり |
| 自動化 | 限定的なこともある | 充実しやすい |
| 向く用途 | 学習、小規模確認、検証 | 継続運用、業務利用、効率重視 |
「まず無料で試したい」という考え方自体は悪くありません。ただし、無料で十分かどうかは、対象と求める精度次第です。Web アプリを継続的に診たい、報告書まで内製化したい、CI/CD に乗せたいという話になると、商用ツールや外部支援の必要性は一気に高まります。
ツール選定の6つのポイント
選ぶときは、次の6点を見てください。
- 何をテストしたいのか
- 今どのフェーズか
- 自社の規模
- 更新頻度
- 扱う人のスキル
- 予算
まず、何をテストしたいのか。Web アプリなのか、ネットワークなのか、クラウドなのかで、入口のツールは変わります。次に、今どのフェーズか。学習段階なら ZAP や Nmap で十分でも、継続運用では Burp Suite Professional やクラウド向けの Prowler が現実的になることがあります。
そのうえで、自社の規模、更新頻度、扱う人のスキル、予算を見ます。高機能でも社内で回せなければ意味がありません。逆に、簡易ツールだけで済ませると、本来見つかるべき問題を見逃すこともあります。ペネトレーションテストは、ツール選びそのものが設計です。ここを急がない方が、結果的に遠回りしません。
環境・用途別の推奨ツール
早見表で見ると、次のようになります。
| 環境・用途 | まず候補にしたいツール |
|---|---|
| Linux 全般 | Kali Linux |
| Windows 環境を含む侵入検証 | Metasploit Framework |
| Webアプリ | Burp Suite / OWASP ZAP |
| AWS / Azure / GCP | Prowler |
| ネットワーク | Nmap / Wireshark |
| パスワード強度テスト | Hydra |
Kali Linux は土台、Nmap は偵察、Burp と ZAP は Web、Wireshark は通信、Prowler はクラウド設定の見える化、Hydra は認証強度テスト寄りです。ここで大事なのは、「何を守りたいか」から逆算することです。人気順ではなく、対象順で選んだ方が失敗しにくくなります。
CyberCrewのペネトレーションテストは、ツール出力だけに依存せず、専門家の手動検証と相互レビューで結果の妥当性を確認します。まずは無料でお見積もりのご相談をお待ちしています。
おすすめペネトレーションテストツール7選
まず比較表で全体像を見て、そのあと各ツールの特徴を押さえると頭に入りやすくなります。
「いちばんおすすめ」を1本に絞るなら、環境ごとまとめて始められる Kali Linux です。ただし、実務で触る頻度が高いのは、Nmap、Burp Suite、OWASP ZAP、Wireshark あたりです。用途がはっきりしているほど、選びやすくなります。
| ツール名 | 種別 | 対応環境 | 難易度 | 無料/有料 | 一言特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Kali Linux | 総合環境 | Linux / VM / Cloud など | ★★★☆☆ | 無料 | まず土台を作るならこれ |
| Nmap | 情報収集 | Windows / Linux / macOS | ★★☆☆☆ | 無料 | 最初の一本に向く定番スキャナ |
| Metasploit Framework | 侵入検証 | Windows / Linux / macOS | ★★★★☆ | 無料 | 実証フェーズの代表格 |
| Burp Suite | Webアプリ診断 | Windows / Linux / macOS | ★★★☆☆ | 無料版 / 有料版 | Web診断の定番 |
| OWASP ZAP | Webアプリ診断 | Windows / Linux / macOS | ★★☆☆☆ | 無料 | 初学者が入りやすい OSS |
| Wireshark | ネットワーク解析 | Windows / Linux / macOS | ★★☆☆☆ | 無料 | 通信を深く見る業界標準 |
| Hydra | 認証強度テスト | 主に Linux | ★★★☆☆ | 無料 | パスワード強度検証向け |
Kali Linux

Kali Linux は、ペネトレーションテストやセキュリティ監査向けに設計された Debian ベースの Linux ディストリビューションです。公式サイトでも、情報収集から最終報告まで幅広い情報セキュリティ業務に向く土台として紹介されています。個別にツールを集めるのではなく、Nmap、Metasploit、Burp Suite、Hydra、Wireshark などの代表的ツールをまとめて扱えるのが大きな利点です。
「まるごとペンテスト環境を用意したい人」に向いており、難易度は ★★★☆☆ くらいです。Linux の基礎があれば扱いやすく、仮想マシンから試しやすいのも魅力です。いきなり実案件で使うというより、まずは安全な検証環境を作り、各ツールの位置づけを理解するための入口として考えると失敗しにくいでしょう。
Nmap

Nmap は、ネットワーク上のホスト、ポート、サービス、バージョン、OS 推定などを行う定番ツールです。公式ドキュメントでも、バージョン検出や OS 検出は代表機能として整理されています。ペネトレーションテストの情報収集フェーズで「まず対象の全体像を把握する」ための最初の一本として非常に使いやすいツールです。
基本コマンドの例としては、自社または許可済み環境に限って nmap -sV -O [自社IP] のようにサービス検出と OS 推定を組み合わせる形が分かりやすいです。-sV はサービスとバージョン、-O は OS 推定に使われます。難易度は ★★☆☆☆ で、まずは結果の読み方を覚えるだけでもかなり実務に効きます。
Metasploit Framework

Metasploit Framework は、Rapid7 が提供するオープンソースのペネトレーションテスト基盤です。公式では、脆弱性評価、ネットワーク列挙、攻撃の実行、エクスプロイトコードの検証などに使える、モジュール型のペンテストプラットフォームと説明されています。単なる「攻撃ツール」ではなく、悪用可能性を検証し、実害ベースでリスクを測るためのフレームワークとして理解した方が正確です。
難易度は ★★★★☆ です。使いこなすには、ネットワーク、OS、脆弱性、権限管理の基礎理解が必要になります。記事として大事なのは、必ず書面で許可された環境だけで使うことです。公式の Quick Start でも、検証、エビデンス収集、レポート、クリーンアップまで一連の流れが示されており、実際の現場では後処理まで含めて運用する前提になっています。
Burp Suite

Burp Suite は、Web アプリケーション診断の定番ツールです。PortSwigger は Burp Suite を「Web application security testing」のための包括的ツール群と位置づけており、Community Edition は学習向けの手動ツールキット、Professional は職業的なテスト向けの高機能版として案内しています。HTTP リクエストの傍受、改変、再送、サイト構造の把握、スキャンまで、Web 診断に必要な機能が揃っています。
難易度は ★★★☆☆。Web アプリ診断を本格的にやるなら、早めに慣れておきたいツールです。Community Edition でも学習には十分役立ちますが、スキャンや効率面では Professional の差が大きく、継続運用や業務利用では有料版が有利です。Web セキュリティを深くやる人にとっては、かなり長く付き合うツールになるはずです。
OWASP ZAP

OWASP ZAP は、OWASP が提供するオープンソースの Web アプリ診断ツールです。公式サイトでも、初めてセキュリティテストに触れる人を強く意識したプロジェクトであることが示されています。GUI が分かりやすく、まずはリクエストの流れや Web スキャンの考え方を学ぶ入口として非常に優秀です。
難易度は ★★☆☆☆。Burp Suite と比べると、初学者が入りやすい一方で、現場での細かな手作業や深掘りでは Burp の方が使い勝手が良いと感じる人も多いです。言い換えると、GUI 重視なら ZAP、作業密度と拡張性重視なら Burp という住み分けが分かりやすいでしょう。OSS でここまで触りやすいのは大きな魅力です。
Wireshark

Wireshark は、ネットワークパケットをリアルタイムに取得し、詳細に解析できるオープンソースのネットワークプロトコルアナライザです。公式では「world’s foremost network protocol analyzer」と案内されており、実務でも教育現場でも標準的な立ち位置にあります。通信の中身を実際に見ながら異常通信や設定不備を確認できるため、ペネトレーションテストだけでなく、障害調査やログでは見えない問題の切り分けにも役立ちます。
難易度は ★★☆☆☆。ただし、ツールの操作は易しくても、パケットの意味を読むにはネットワークの基礎知識が必要です。逆にいえば、ここを理解すると、セキュリティの見え方がかなり変わります。Nmap で見えたサービスや、Burp で見ている HTTP の背後がどう流れているかを確認する意味でも、かなり良い補助線になります。
Hydra
Hydra は、認証まわりの強度検証で名前が挙がることの多いツールです。公式リポジトリでも、複数プロトコルに対応した高速なオンラインパスワードクラッキングツールとして公開されています。記事としては、「破るための道具」ではなく、自社システムの認証強度を安全に検証するためのものとして位置づけるのが適切です。
難易度は ★★★☆☆。非常に誤解されやすいツールでもあるため、取り扱いには注意が必要です。必ず自社または正式に許可された検証環境だけに使い、対象範囲、試行回数、時間帯、監視体制を事前に決めておくべきです。認証まわりは業務影響も出やすいので、安易に本番へ当てるのではなく、まずは検証環境で設計と運用の弱さを洗い出す発想が大切です。
ペネトレーションテストの流れ
ここからは、実際にペネトレーションテストをどう進めるかの流れを解説します。
ただし、ペネトレーションテストは「ツールを入れたらすぐ始める」ものではありません。計画・許可・対象確認・後処理まで含めて初めて成立する業務です。金融庁のガイドラインや NPA の不正アクセス関連資料を見ても、権限や体制、報告、記録の重要性が前提になっています。

STEP1:計画・スコープ設定
最初にやるべきは、目的、対象 IP や URL、時間帯、使う手法、関係者、緊急停止条件を明文化することです。ここを省くと、技術的には正しくても、組織としては事故になります。第三者のシステムに無断でアクセスすれば、不正アクセス禁止法の問題に直結しますし、自社システムであっても、運用部門や経営側に共有せずに行えばトラブルになります。
チェックリストとしては、対象一覧、許可者、連絡体制、ログ保存方針、影響が出た場合の停止基準、後処理担当者まで決めておくと実務で困りません。テストの品質は、実はこの準備段階でかなり決まります。
STEP2:情報収集
次に、対象の全体像を掴みます。
Nmap を使うなら、許可済みの自社環境に対して nmap -sV -O [自社IP] のような基本的な確認から入るのが分かりやすいでしょう。サービスやバージョン、OS 推定の結果を見ることで、どこに何が公開されているかの初期地図ができます。Nmap 公式ドキュメントでも、サービス検出と OS 検出は代表機能として整理されています。
この段階で大事なのは、結果を「開いている」「閉じている」で終わらせないことです。SSH は必要か、古いミドルウェアはないか、想定外の公開面はないか、といった視点で読みます。ペネトレーションテストは、ここで作った仮説が後半の質を左右します。
STEP3:脆弱性スキャン
Web アプリが対象なら、OWASP ZAP か Burp Suite で受動的な確認から始めるのが安全です。ZAP には入門者向けのガイドが用意されており、認証やスキャン設定も継続的に改善されています。Burp Scanner も DAST として設計されており、手動テストを補助する役割を持っています。
ここでは、出てきた結果をすべて「重大」と見なさないことが重要です。認証、公開範囲、業務影響、再現性を見ながら、優先順位を付けます。実務では、脆弱性の数より、先に直すべき順番の整理の方がはるかに大事です。
STEP4:侵入テスト
Metasploit Framework を使った侵入検証は、この段階から先になります。
ただし、ここは明確に線を引くべきフェーズです。公式ドキュメントでも、エクスプロイト、ポストエクスプロイテーション、証拠収集、クリーンアップまで含めた流れが想定されており、単純なスキャンより一段リスクが上がります。
そのため、この工程は「自分で全部やってみる」より、十分に閉じた検証環境で練習するか、専門家に任せるかのどちらかが現実的です。特に本番環境では、誤操作や想定外の影響が出る可能性があります。ツールを持っていることと、安全に使い切れることは別だと考えた方がよいでしょう。
STEP5:報告書の作成
テスト結果は、脆弱性一覧だけで終わらせず、何が見つかり、どこまで到達でき、どの順番で直すべきかまで整理して文書化します。OWASP WSTG や OffSec の OSCP+ 関連資料でも、報告書はペンテストの重要な成果物として扱われています。
また、報告書には機密情報が含まれやすい点にも注意が必要です。URL、IP、構成、認証の弱点、到達範囲などは、そのまま漏れると逆に危険です。保管先、閲覧権限、共有先の制御まで含めて、報告書もセキュリティ対象として扱うべきです。
STEP6:後処理・改善対応
最後に、使ったアカウント、変更した設定、残したログやキャプチャ、検証用データ、作業端末側の痕跡を整理し、必要に応じて削除や復元を行います。Metasploit の Quick Start にも clean up が工程として含まれており、テスト後の原状回復は正式なペネトレーションテストの一部です。
そして、本当に大切なのはここからです。ペネトレーションテストは「侵入できた」で終わるイベントではありません。見つかった弱点を潰し、再確認し、運用に戻すまでやって初めて意味があります。原状回復と改善対応まで含めて、ペネトレーションテストです。
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CyberCrewはホワイトハッカーによるペネトレーションテスト
ここまで読んで、ツールでできることと限界の両方が見えてきた方も多いと思います。
実際、Nmap や ZAP で表面を確認するところまでは社内でも進めやすい一方で、複数の弱点をつないだシナリオ設計、侵入検証の安全運用、報告書の質は、一気に難易度が上がります。OWASP もバランスの取れた testing program を勧めており、自動化だけに依存しないことが前提です。
CyberCrewでは、攻撃者視点のシナリオ設計とホワイトハッカーによる手動検証を重視したペネトレーションテストを提供しています。
対応範囲は、Web、クラウド、ネットワーク、シナリオ型など多岐にわたり、まずは無料相談から始めていただけます。
現在では経済産業省の情報セキュリティサービス基準に基づく登録サービスとして、実践的な検証と改善につながる報告を行っています。
費用は対象や規模によって大きく変わるため個別見積もりとなりますが、脆弱性診断は10万円台から、ペネトレーションテストは内容に応じて数十万〜数百万円規模が目安です。
自社だけでどこまでやるべきか迷うときは、まず無料見積もりや相談で対象範囲を整理するのが現実的です。特に、本番影響のある侵入検証や、経営層向けの説明資料まで必要な案件では、最初から専門家を入れた方が結果的に早いことも少なくありません。
ペネトレーションテストに関するよくある質問
Q1. ペネトレーションテストは違法になりませんか?
自社システムで、適切な権限者の許可を得て実施するなら通常は問題ありません。逆に、第三者システムへ無断で行えば不正アクセス禁止法の問題になります。まずは対象、権限、時間帯、緊急停止条件を事前に明文化してください。
Q2. ペネトレーションテストの費用はいくらですか?
外注では数十万〜数百万円まで幅があります。対象が Web だけか、クラウドや内部まで含むかで大きく変わります。自社で OSS ツールを使えばライセンス費は抑えられますが、工数とスキル確保のコストは別に考える必要があります。
Q3. ペネトレーションテストのデメリットは?
専門知識が必要で、準備と後処理まで含めると手間も大きい点です。また、ツールや自動化だけでは見逃す領域があります。だからこそ、目的を絞り、必要に応じて手動検証や外部支援を組み合わせる考え方が重要です。
Q4. ペネトレーションテストにはレベルがありますか?
一般的にはブラックボックス、グレーボックス、ホワイトボックスの3種類で整理されます。事前情報なしで攻めるか、一部共有するか、内部情報まで使うかの違いで、現実性と効率のバランスが変わります。
Q5. テスト自動化の目的は何ですか?
人手では追い切れない範囲を早く広く確認するためです。Nmap や Burp Scanner、ZAP のような自動化は有効ですが、それだけで十分とは限りません。実務では、自動化で候補を絞り、手動で深掘りする併用が基本です。
まとめ

ペネトレーションテストツールを選ぶときに大切なのは、「どれが有名か」ではなく、自社のどの工程を、どこまで確認したいかです。
まず環境を整えるなら Kali Linux、情報収集なら Nmap、Web アプリなら Burp Suite か OWASP ZAP、通信解析なら Wireshark、踏み込んだ実証なら Metasploit Framework、認証強度の確認なら Hydra、クラウドなら Prowler、という整理が基本になります。
そしてもう一つ大事なのは、ツールを入れることと、適切にペネトレーションテストを完了できることは別だという点です。計画、許可、実施、報告、後処理まで回して初めて、意味のあるテストになります。自社だけでの対応に限界を感じたら、早めに専門家へ相談するのも立派な判断です。
CyberCrewのペネトレーションテストは、ホワイトハッカーによる攻撃者視点での模擬攻撃を通じて、どこまで突破され、どこに影響するのか”を再現・検証する実践型のセキュリティ評価です。単なる脆弱性の列挙にとどまらず、本質的なリスクを明らかにします。まずは無料見積もりのご相談をお待ちしています。
投稿者プロフィール

- CyberCrew(サイバークルー)
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CyberCrew(サイバークルー)は、企業の情報セキュリティをトータルで支援する専門チームです。高度なスキルを持つホワイトハッカーが在籍し、サイバー攻撃の監視・検知から初動対応、リスク診断や従業員向けのセキュリティ教育まで、幅広いサービスを提供。企業のニーズに応じた柔軟な対応で、安心・安全なIT環境の実現をサポートします。
■ 情報セキュリティサービス台帳登録事業者
■ セキュリティコンテスト受賞歴
Hack The Box Business CTF 世界No.1
CEH Master Leaderboard 世界No.1
Hack The Box Rank TOP10
■ 保有セキュリティ資格
GIAC GXPN、Cisco Cybersecurity Specialist、CEH Master、CEH Practical、
Cyber Security Professional Certificate、OSCP、OSCP+、CPENT、OSWP、
eCPPT、eMAPT、CRTS、SOC-100、PEN-100、
HTB Offshore Penetration Tester(Level 3)









